冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
グランドから徒歩で行ける居酒屋は土曜日だから夕方早い時間から開いていた。
グランドから近い居酒屋はここ一軒しかなく、惜しくも優勝を逃した企画部のメンバーも同じ店にいた。
総勢20名近くで予約もなしで来たものだから、お店もてんやわんや。
大きな座敷をつい立てで二つに分けることで、設計部と企画部が同じ部屋になった。
けれど、結局お酒が進むにつれて、つい立ては取り払われ、企画部と合同打ち上げのようになってしまった。
応援している時から呑んでいる大木さんは、すでにハイテンション。
他のみんなも優勝した喜びを分かち合うのと、6月の空の下で日焼けしてしまった身体を冷やすようにビールを仰ぐ。
今日子と私も生ビールをゴクゴク。
「あーーー!最高!!!!」
今日子の豪快っぷりな呑み方に私もつられてゴクゴクゴク!
「美味しいねー。」
二人でケタケタ笑ってた。
いつもは私達のこんな呑みっぷりを見て、隣で柔らかい眼差しを向けて笑っている進藤はというと…。
管理課の女子に挟まれ笑ってる。
ウーロン茶を飲んでいる進藤はビールを薦められているが、車だと断っているのは聞こえた。
試合終了後、早々とコンタクトを外して普段と変わらない冴えない進藤に戻っても、もう女子たちには進藤はイケメンと言うデータがインプットされてしまったのだろう。
「進藤くん、なんでメガネなのー?外して、外してー!!!」
と、甘い声をかけて進藤のメガネを外そうとしている。
もう一人は、日焼けしてるから酔いが回るのが早いと言って、進藤にしなだれ掛かる。
進藤はまんざらでも無さそうに静かに微笑んでいた。