冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


30分後、私たちは東京湾が見える埠頭に車を停め、ぼんやりと景色を眺めていた。



「話ってなに?」

私はありったけの渇いた口調で尋ねる。
成二は夜景を見たまま、私と視線を合わせずに語り出した。




「玲奈は妊娠してなかったんだ。」

えっ?心の中が大きく波打った。
私は咄嗟に成二の顔を見る。
やはりこちらには視線を向けずに、成二は東京湾の夜景を見たままだった。



「玲奈は妊娠してなかったんだよ。」

と同じことを繰り返し言ってる。
成二が何を言おうとしているのか、推し量ることができない。
その結果を私に告げて、なにを言いたいの?
次の言葉を待っていると、成二が急にこちらを見た。



「夏希、俺さ、お前とやり直したいんだ。
やっぱりお前じゃなきゃダメなんだよ。
玲奈が妊娠してたって言うのは最初から嘘だったんだ。
だまされてたんだよ、俺。」


成二の顔がどんどん情けなさでゆがんでいく。
一度は好きになった男だ。
こういう弱々しい姿を見せられると心が揺れる。


でも・・・。







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