冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
進藤が迎えに来た

走り出した車の中、進藤は黙ったままだ。
少し不機嫌にも見える。

私の手元には、さっき、成二の車に置き去りにされたスマホがある。
進藤から受け取ったものだ。



「成二に…平岡くんに逢ったの?」



「はい。
夏希さんのスマホ、電源が切れていたので平岡さんにしつこく電話して居場所を聞き出しました。」



「平岡くん、なんか言ってた?」

成二の様子が気になってた。



「別に・・・
というか、夏希さん、いくら同期だからって飲んだ後に男の人の車に乗って帰っちゃダメですよ。
何かあったらどうするんですか?」


ああ、そうか。
進藤は成二が元カレだって知らないんだもんね。
ま、今日の成二の行動は私も想定外で驚いたけど。


「夏希さん?ちゃんと聞いてますか?」



「うん、わかった。
ん?でもさ、これも同じことじゃないの?
飲んだ後に男の人の車に乗っちゃダメって。」


と、私はその場の雰囲気を変えたくて、少しおちゃらけながら運転している進藤の邪魔にならない程度に顔をのぞき込んだ。



「僕は特別です。だって・・・」

不機嫌だった進藤の顔がいつもの優しい顔に戻った。

「だって?」







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