冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
ーーー 進藤side ーーー
社内のソフトボール大会の打ち上げの店に偶然、企画部もいて、結局、合同打ち上げのような形になってしまった。
僕は車で来ていたし、できれば夏希さんを送って帰りたかったから、アルコールは控えていた。
僕の周りには、前にいた部署の企画部の女性や、これまでほとんど話した事の無い女性が集まって来てお酒を勧める。
面倒だったし、車で来ている事を理由に断り続けた。
なにやら女性同士で盛り上がって、会話の中に参加させられるけど、僕は上の空。
だって夏希さんのお酒のペースが激しく早い。
僕はそっちばかり気になって、周りにいる女性たちの話なんて耳に入って来ないんだ。
それに夏希さんの隣には、いつの間にか企画部の平岡さんが座っている。
今日子さんも一緒にいるから同期で集まってるのはわかるけど、なんだかモヤモヤしてしまう。
だって平岡さんの夏希さんを見る目つきが気になるんだ。
すごく気になる。
「お〜い、進藤。お前、なんかスポーツやってたの?」
と、背中の方から大木さんが声をかけてくる。
僕は後ろに振り向き大木さんと会話する。
すると大木さんが「ビール!」と、お酌をねだるものだから、ビールが入っている瓶を探し、お酌をした。
そこでガッツリ大木さんに捕まってしまった。
大木さんから解放された時、僕は焦ったんだ。
夏希さんがいない。
そして平岡さんもだ。
残っていた今日子さんのところに駆け寄った。
「今日子さん、夏希さんは?」
「あー、進藤だ!今日はモテモテだね〜。」
今日子さん、酔ってるな。
「今日子さん、夏希さんは?」
僕は口調を強めにして、同じ事を繰り返し聞く。
「ああ、夏希?あれ〜?気になるの?」
今日子さんは茶化すように僕の頬をピタピタと軽くたたく。
今は、そんなおふざけには付き合っていられない。
「今日子さん!!!!!!!」
「わかったわよ〜。
成二が話があるって、さっき二人で抜け出した。」
「えっ?」
「大丈夫だってば。
進藤が心配するようなことはないから。」
僕の背中にいやな汗が流れた。
「僕、帰ります。」
「ちょっと!進藤!!!!」
今日子さんの止める声も聞かぬまま、僕は店を飛び出した。