冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!

二人の姿はもうとっくに消えていた。
普段だったら、こんなに焦ることもなかったと思う。
平岡さんが夏希さんへ向けた眼差しを見なかったら。


あの時の平岡さんの目は、完全に夏希さんを同期以上の感情で見ていた。


平岡さんには婚約者がいるからと安心はできない。
だって僕は知ってるんだ。
平岡さんと夏希さんが付き合ってたことを。



平岡さんの車があった駐車場に行ってみたが、すでに車は出庫していた。



僕はすぐに夏希さんに電話をかけてみる。
なかなか出ない。
コールの間、いやな汗が止まらない。


こんなにも冷静でいられなくなっている自分は初めてだ。
コールが果てしなく続くと思っていると、夏希さんが電話に出た。
しかし安堵したのも束の間。
聞こえてくる声は男性の声だった。



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