冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


「進藤・・・俺・・・」

平岡さんはうつろな目をして僕を見ている。
僕は恐怖と憤りで感情が爆発しそうだ。
でも今は夏希さんを捜すことが先決だった。



「平岡さん、何があったか教えてください。」



「俺がいけないんだ、俺が無理矢理、夏希に迫ったから。」



「えっ?」

僕は一瞬で頭に血が上ってしまった。
気が付いたら、平岡さんを殴っていた。
よろけた平岡さんは車のボンネットに両手をついてバランスを取る。


「夏希さんはどこにいるんだ!!」

よろよろと体制を整え、僕の方に向き直った平岡さんは、


「わからない。車から飛び出して行ってしまったんだ。」

平岡さんは夏希さんのスマホを僕に差し出した。
今、夏希さんは、スマホを持ってないのか。
焦る気持ちが更に増す。


「進藤、俺、どうしたら・・・」

そんなこと、知るわけないだろ。
僕は夏希さんのスマホを奪い取って、平岡さんには目もくれず、夏希さんを捜す為にすぐに自分の車に戻りアクセルを踏んだ。



どこにいるんだ。


一人で歩いている人影が見えれば、スピードを下げ目を凝らす。
何度も何度も人影を見つけては落胆する。

もしかしたら家に戻ってるかもしれない。
連絡を取る術がないけど、無駄足になってもいい。
家にいれば問題がないんだと言い聞かせ、夏希さんの家に向かおうと、車をUターンさせた時だった。





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