冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
終バスも出てしまったであろうバスの停留場に夏希さんはいた。
すでに煌々とした灯りは消され、防犯程度の薄明かりだけが灯っているベンチに座ってる。
夏希さん!
僕は停留所に車を停め、サイドブレーキをキュっと引いて、車から飛び出した。
「夏希さん!!!」
座ったまま呆然としている夏希さんの横に腰を下ろし、ギュッと抱きしめた。
よかった・・・無事でよかった。
安堵の波が押し寄せる。
夏希さんのぬくもりを確かめるように抱きしめた腕に力を込める。
「苦しい・・・」
夏希さんの声が聞こえる。
僕はそっと夏希さんの顔をのぞき込むが、これまでの不安がまだ体の中に潜んでいるようで、なかなか夏希さんの体を離せない。
僕はこの人に何かあったらと思うと、気が狂いそうだった。