冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
進藤が帰ってしまった
一人で過ごす部屋なんて慣れてるはずなのに、進藤と別れて部屋に入った途端、わびしい気持ちでいっぱいになった。
ひとりでいたいと思う反面、誰かのぬくもりが恋しいなんて、今まで思ったことがあっただろうか?
成二と付き合ってた頃、どこかで成二の優柔不断さが信頼できず、一歩引いた恋愛をしていた。
いつでも成二から抜け出せる準備をしていたのだ。
案の定、成二が玲奈を選んだときも、ショックはショックだけど、心が壊れるとか、食欲が無くなるとか、目に見えての変化は見えなかった。
どこかで冷めている自分がいたのかもしれない。
ところは今日はどうだろう。
私の心を乱したのは、成二じゃなく、本当のところ進藤なのではないかと考える。
成二と逢ってるときに進藤から電話がなければ、成二だって感情を煽られることもなかったかも。
進藤の声を聞かなかったら、進藤を思い出して涙なんか流さなかったかもしれない。
進藤に抱きしめられていなかれば、ひとりで帰る部屋もこんなにもわびしく感じなかったかもしれない。
進藤がいなければ・・・
もう進藤がいないなんて無理。
心は進藤でいっぱいになってる自分に気が付いてしまったから。
さっきまで隣にあった進藤の温もりが恋しくて、恋しくて泣きそうになる。
その時だった。
家のチャイムが鳴り響く。
こんな夜更けに?といつもは不審に思うのに、今日は確信があった。
私は誰かも確認せず、玄関の扉を開けた。