冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


用意ができたら家を出発してしまうタイプなので、進藤の部屋には約束の6時よりも1時間も早く着いてしまった。


着いたというメールをしようかと思ったが、仕事を急かしているようで悪いと思い、その代わり、来る途中にあったスーパーで食材を買い、簡単な夕飯を作った。


進藤と何度も食事をしているから、好き嫌いはないのも知ってるし、好んで食べている料理も何となくわかる。


最初はハンバーグを作ろうと思ったが、白米があるかどうかわからなかったので、簡単にできるパスタにした。
パスタとスープ、そしてサラダ。
ランチで外食するときのメニューみたい。


そんな時の進藤は決まってシンプルな味付けを好む。
なので今夜はペペロンチーノにしてみた。
スープはオニオンスープ。
あっという間に下ごしらえはできてしまう。
進藤が帰って来たら、パスタをゆで始めよう。
と考えていたらメール着信の音がした。


「もう着いていますか?
僕はもう少しで上がれそうです。夕飯、何か食べたい物はありますか?」



「お仕事、お疲れさま。
夕飯なら、簡単に作ってあるよ。家で食べよう。」

進藤、喜んでくれるかな?
しかし、来た返事は素っ気ない一言。



「了解です。」

あれ?なんか拍子抜けだな。
すると、このメールのやりとりから、10分も経たないうちに進藤が帰って来た。



「お帰り。」

玄関に立ったままの進藤は、少しだけ顔が赤く見える。



「どうしたの?走って来たの?」



「いえ・・・なんか良いなと思って。
お帰りとか言われたり、帰って来たら夕飯の良い匂いがしてたりとか。」



「そう?」

と、素っ気なく言い返すと、進藤は怪訝な顔を見せた。


「だってさっきのメール。あれ、素っ気なさ過ぎじゃない?」
と反論すると、




「姉貴ですよ。
僕がメールをしてたら、顔がニヤついているって覗き込むもんだから、一言しか書けなかったんです。
あの時は。」



「ふ〜ん。」

と、私はわき出したお湯にパスタを落とし入れる。


「手、洗って来て。
パスタが茹であがったらすぐに食べられるから。」

進藤は嬉しそうに「は〜い」と言って洗面所へ向かって行った。






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