冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


「それから3人で飲んでも、話の流れで僕は先に帰らせられていました。
最初は平岡さんも怪訝な顔をして止めてくれていたんですが、そのうち、僕が途中で帰ることが当たり前になってきて、いつの間にか、僕抜きで2人で飲むようになっていました。
ま、それを知ったのはすでに2人がそういう仲になっていた時なんですが。」



「進藤はその小沢さんに良いように使われていたんじゃねぇかよ。」

大木さんは少しお酒が入って、言葉使いが荒くなって来ている。



「2人がそういう関係になってしまって僕には罪悪感が生まれました。
もしかしたら、僕が先に帰ってしまうことによって、平岡さんを夏希さんから奪う小沢さんに加担してしまったのではないかと。」



「それは考えすぎだろ。」

大木さんは笑いながらそう言った。



「そうだと思いたいです。
こんな罪悪感からか、夏希さんのことが気になってしまって、たまに設計部に様子を見に行っていました。
最初は本当に同情だったかもしれません。

でも夏希さんを見ているうちに、どんどん夏希さんの存在が大きくなって、自然と彼女を捜していました。

そんな時、設計部から公募で異動の話があると知りました。
僕は迷いもせず応募しました。」



「企画部から設計部って異例だよな。もしかして正野のためだけに異動か?」

と、大木さんは少しあきれ顔をしていた。

大木さんの疑問は半分正解。
夏希さんの近くにいたかったのは事実。

でもあとの半分はちゃんと仕事のことも考えていた。
僕はこの会社に骨を埋めるつもりはない。
次のステップへ上るための経験を積んでいるだけだから、職種はいろんなジャンルを経験したかった。

その辺の事情は、また時期が来たら大木さんにはきちんと話そう。

今は夏希さんのことだ。






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