冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


進藤とは反対方向へ足早に歩いた。
万が一、進藤が振り向いて気が付いてしまわないように。
もうこの街には二度と来ないかもしれないなんて、究極なことまで考えながらスタスタと歩いた。


目の前の信号が赤になって、やっと歩みを止めた。
もう進藤には気が付かれない距離だと思う。


進藤とは何もなかったことにしよう。
今なら大丈夫。
今なら傷が浅い。
ちょっとした気の迷いで、体を重ねてしまっただけ。
最初は酔ってたしね。二回目だって・・・



二回目に進藤に抱かれた夜。
成二から私を救い出してくれた進藤が優しく激しく私を大切に扱ってくれた。



そう思ってたのは自分だけだったのかもしれない。
ううん、玲奈とのことで大人げない態度を取っていた私にもう愛想を尽かしたのかもしれない。


進藤・・・・・



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