冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
信号がいつの間にか青になっていた。
私だけが立ち止まって、周りがスローモーションのように動き出していた。
「夏希さん?夏希さんよね?」
見覚えのある女性が横断歩道を渡って私の前まで小走りでやってきた。
風を切ってるからか、お腹の膨らみがわかる。
「響さん・・・」
一度だけ進藤のマンションで逢った進藤のお姉さんだった。
「どうしたの?具合でも悪いの?」
心配そうに顔を覗きこむ。
「あ、大丈夫です。」
少し声が枯れてしまった。
様子がおかしいと思ったのか、響さんは「休んだ方がイイ」と、近くにあったカフェへ私を連れて行った。
私は逆らう元気もなくそのまま付いていった。