冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
梅雨入りした蒸し暑い外から、冷房の利いたカフェへ入って少し気分が良くなった。
響さんはオレンジジュースの氷をカラカラとかき混ぜながら、向かいに座って私が落ち着くのを待っている。
優しい眼差しが進藤と重なる。
「あの・・・もう大丈夫ですから。」
視線が気になって私から言葉をかけた。
「ホントに?さっきは顔色が悪くて倒れちゃうかと思った。」
「すみません、ご心配をおかけして。」
「今、亮介を呼んだから。」
「えっ?」
響さんは当たり前のように言う。
進藤と私が今気まずい事が起きてるなんて知らないんだろう。
「亮介、電話口で焦ってたからすぐ来ると思う。」
「・・・。」
「亮介、夏希さんのこと大好きみたいね。」
響さんはクスっと笑う。
すごくチャーミングだ。
「そんなこと・・・。」
私は今、可愛くない顔をしているだろうと自覚している。
「そんなことあるわよ。あの子、最近、変わったなって思うし。」
響さんは進藤よりも大きな二重のクリっとした瞳で私をじっとみつめている。
なんだか恥ずかしくて、一瞬目を逸らす。
「姉が言うのも変だけど、亮介って女の子にモテるのよ。
でもね、真面目で不器用でとにかく面白くないでしょ。
ズレてるというか、空気が読めないところもあって。
ここ大事っていうところをハズしたりね。
そこ?ってところに突っ走っちゃったり。
高校の頃に付き合ってた彼女には見かけ倒しねと言われちゃったくらい。」
若いって残酷だなと他人事に聞いていた。
「亮介も相手に合わせようなんて気持ちがないから、それでおしまい。長続きしないのよ。
でもね、最近、あの子おかしいの。」
と、オレンジジュースのストローをいじりながら響さんは嬉しそうに笑ってる。