冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
「おしゃれに気を使ったり、髪型を気にしたり。」
そういえば、最近、髪型が変わって管理課の女性陣にかっこいいって騒がれてたっけ。
「どうしてだと思う?」
響さんは更に嬉しそうに笑う。
私の答えなんて期待していないようだった。
「夏希さん、あなたに出逢ってからよ。
あの子が部屋に女性を連れて来るなんて初めてだし、私には相談しないけど、夫には色々と相談しているみたい。
女性が喜ぶようなデートスポットはないかなんて聞いてるんだって。」
「それは・・・・」
私じゃない。
進藤と出かけたのはソフトボール大会の買い出しくらい。
あとはほとんど会社帰りの「246」だった。
さっき進藤が一緒にいた女性の存在を響さんは知らないんだ。
泣くのを我慢してコーヒーカップを持つ手に力が入る。
響さんの視線に耐えられなくて、またうつむいてしまう。
「夏希さん?大丈夫?」
私は耐えかねて思いを口にした。
「進藤くんが好きな女性は・・・私じゃないと思います。」
響さんは「?」という顔をしている。
「さっき・・・進藤くんと女性が一緒にいるところを見ました。
とても可愛らしい女性でした。
きっとその彼女のことをお義兄さんに相談しているんだと思います。
ごめんなさい・・・」
響さんは驚きながらもなぜか笑ってる。
私がもう耐えられずイスから立ち上がろうとしたとき、店の扉から慌てて進藤が入って来た。
「来た、来た。こっちよ。」
と響さんが手を挙げる。
進藤は心配そうな顔をして私に駆け寄ってきた。
響さんは私の話を聞いていたんだろうかと疑問に思う。
「夏希さん、大丈夫ですか?えっ?どうして?」
その場から逃げられず、不覚にも一筋の涙がこぼれてしまった。
「姉ちゃん、何言ったんだよ、夏希さんに何したの?」
進藤が夏希さんを責め立てる。
「違う、違うよ、進藤。」
私は慌てて進藤を止めた。
「だって・・・夏希さん、なんで泣いてるの?」
そう問いつめる進藤に答えることをためらっていると、響さんが答えを口にした。
「亮介が女の子と歩いていたのを見たんですって。」
どこか面白がってるように見える。
「あっ・・・」
進藤がばつが悪そうな顔になった。
その時だった。
カフェの扉から少し怖い顔をしてさっき進藤と一緒にいた女性が入って来た。
「亮介くん、置いて行かないでよ、まったく!」
ご立腹の彼女は私の目の前の響さんを見て親しげに挨拶をしては、また進藤に文句を言い始める。
「響さん、亮介くんったら私に荷物を押しつけて、急に走って行っちゃって・・・
ひどいでしょ?あっ!」
言うだけ言うとその女性は私を見て声を上げた。