冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
進藤と付き合う
進藤と正式に付き合うようになった。
進藤はもう付き合ってるつもりでいたみたいだけど、私としてはハッキリした言葉がなくて不安になっていた。
そんなある日、ベッドの中で
「夏希さんは、付き合ってない人とあんな事やこんな事をするんですか?」
と怒られ「確かに!」と変に納得させられた。
進藤ってやっぱりどこかズレてる気もするけど、そこを含めて私は進藤を好きなんだと思ってる。
これはあばたもえくぼってやつだろうか?
進藤と週末を過ごし、月曜日の朝、まだ出勤している人がまばらな時間。
席に着くと隣の席の今日子がイスに座ったままキャスターを転がして私のところへ寄って来た。
「ほっほ〜、仲直りしたんだ。」
とニヤニヤして首元を指差して見ている。
「えっ?えっ?見えてる?」
「やっぱりね!! 何が見えてるの?」
といやらしい目つきで更に詰め寄ってくる。
「あ〜、カマ掛けたでしょ?」
進藤は「自分のもの」と言わんばかりに体中に印を付けた。
見えるところはダメだと言って避けていたのに、結局、見えるところも赤く染まっていた。
普段、室内でストールなんてしない私がガッツリと巻いてれば、今日子にはバレバレだ。
たまたま通りかかった大木さんもニヤニヤと私と今日子の会話を聞いている。
心配してくれていた望美さんに進藤と仲直りしたことを昨日メールしておいたので、おおかた予想はできていたんだろう。
私が真っ赤になっているところにタイミング良くか悪くかわからないけど、進藤が出勤してきた。
その進藤の頭を大木さんが丸めた図面でぽんぽんと叩く。
「まったく。がっつきやがって。でも、ま、良かったな。」
そう言って優しい笑顔を私に向けてCADルームへ消えて行った。
進藤もやわらかい笑顔で私を見ていた。
「あ〜、朝からやめてよ。ここだけハートが飛んでるし。」
と今日子の冷やかしも、設計部の人たちが続々と出勤して来た頃には静かになっていた。