ふたつ手と手
「咲樹〜♪そろそろ行くで〜♪」

何回か仕事で着たからか、自分で着れるようになったのが嬉しくて思い切って1つ買った、カラシ色とモエギ色のストライプの浴衣。
色みを気に入った。
手にした扇子で扇ぎながら寝室に入ると、白地に藤色の牡丹の華がキレイな浴衣姿の君が居た。

「えぇわぁ〜♪よ〜似合てる!」

「ありがとう♪淳大も男前♪」

「っ…!!」

思わずキスした俺に顔を紅くした君を抱き締る。

「ほな、行こか!」

「ん♪」

浴衣やのに、車を走らせる事、20分。

近くに見つけた秘密の場所。

「暗いから気を付けて…」

差し出す俺の手をしっかり握り返す君の手。しばらくして始まった花火が見える。

音が遅れてくる。

「離れててごめんなぁ…縁日にも行かれへんしなぁ…」

「全然大丈夫やで?一緒に花火が見れたもん♪」

街頭の灯りが君の笑顔を照してくれる。
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