憂鬱な駆逐艦の憂鬱な日常
1章 「疲れた」はトレードマーク
「疲れた……」
第七水雷戦隊の宿泊寮で初雪(はつゆき)は呟いた。

初雪が所属する第七水雷戦隊は名こそ『水雷戦隊』だが、最近は遠征続きであった。
つい先程に遠征から帰投したばかりの初雪は、おやつの鋼材を口の周りに付け、机に突っ伏していた。

「確かに最近は遠征だらけで疲れちゃいますね…」
初雪に同感するように白雪(しらゆき)が言った。
白雪は初雪の姉であり、初雪の良き理解者でもある。

「せめて砲雷撃戦ならスッキリするのにクマ……」
と続けたのは軽巡洋艦の球磨(くま)。
軽巡洋艦は初雪たち駆逐艦に対し少し背も高く、火力も高い艦種である。

「砲雷撃戦ですか…最近はめっきりですね…ね、初雪?」
「ん〜…いやいや、なんかそーゆーのもしたくない。動きたくない。」
初雪はもとから働くのは大嫌いであった。

「あり?そう言えばさっきお風呂に行った奴らは何処ぞ?」

第七水雷戦隊は全部で6隻の艦で編成されている。
残りの3隻は先ほどの被弾のダメージを回復させるため、入渠中であった。

「ん?もうすぐ来ると思うクマよ?」

球磨の言葉が終わるか終わらないかというところで、部屋の扉が開いた。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop