きっかけは誕生日
 プリプリしながら図書館について、通用口のセキュリティカードを通すとドアを開ける。

 今日は絶対にランチは別のところでとろう。

 固く決心していたら、背後から肩を叩かれた。

 振り返ると、同僚の咲良ちゃん。

 いつも可愛らしい格好で、まだまだ若い24歳。

 ああ……眩しいくらいに華やかだわ。

「わぁ~。やっぱり小柳先輩でした! どうしたんですか? 今日の服装とかカッコいい!」

 カッコいい?

 女性として、カッコいいのはセーフなの?

「お化粧も今日はバッチリですね! 先輩やっぱりお化粧したら映える~」

「お化粧は毎日してますが……」

「え。素っぴんじゃなかったんですか?」

「…………」

 よし! 悪気はなかった事にしてあげよう!

 まさか今日は、ママに化粧をしてもらった等と言う事を口走る前に、スルーしてしまおう!

 だけど、だけどさぁ……

「女子力無いわぁ、私」

 溜め息混じりに肩を落として、ロッカールームに向かう。

 だいたいさぁ、誕生日にノックもせずに親は部屋に入ってくるし、その親に最近の流行を指摘されるし、男を引っかけろとか言われるし。
 しかも慣れないスカートはヒラヒラして、顔見知りと言うだけの男の人に下着見られるし。
 果ては後輩に、いつも素っぴんだと思われていたし。

 どうなのそれ。

「えー。先輩スタイルいいのに」

「はい?」

 いきなりなんだい、この子は。

「おっぱい大きいし、こうしてみるとウェストめっちゃ細いし。どうして隠してたんですか」

 いや。隠していた訳ではないのだけれども。
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