幼なじみが私の彼氏になりました
「はぁ、つい、た…」
ここか。
この先に空がいるのか。
私はひと呼吸し、ドアを開けた。
ガラガラガラー
「そっ…」
バンッ!!
「ひゃっ!?」
な、なに?
「「「果歩、誕生日おめでとー!!」」」
…え?
く、クラッカー?
「そ、空?」
そこにいたのは笑顔な空だった。
「原田君ばっかり、私達の存在はー?」
「緑?」
「空にしか目がないのかなぁ?」
「先輩…」
なんで?
「待ってたよ」
空は私の手を取る。
「なんで?私…」
「やっぱり忘れてやがる」
「え?」
「今日は果歩の誕生日だろ?」
えっ…。
そ、そうだった。
忘れてた…。
え、でも空…
「停学って聞いたよ?」
「あぁ、それは嘘」
「えっ!?」
う、嘘?
「相葉達にも協力してもらったんだ」
「果歩、私の演技力はどうだった?」
と、緑は言った。
嘘…演技だったの?
じゃあ停学って言うのは嘘で…。
「でもでも!皆だって変な雰囲気出してたよ?」
ざわざわしてたじゃん!
まさか、皆にも…?
「それも俺が皆に言っといた。それらしき雰囲気にしとけって」
そんな…。
「ふっ、もぅ…」
安心して涙が出てきたよ…。
「俺が2度も停学になるわけ無いだろ?」
「うー…」
空は私の頭を自分の方に寄せた。
空の匂いがした。
昔と変わらない、懐かしい匂いだった。
初恋の匂いは、こんな感じだった。
「ここにいるから」
空の声、落ち着く。
「空のバカ!心配…っ、したんだよ?」
「ごめん。けどどうしても果歩驚かせたくて」
「ひっ、…ばかぁー…」
「果歩」
「うん?」
私は涙を拭って空を見る。
「聞いてほしい事がある」
「うん…」
その目は真剣で、いつもの空と違ってた。