幼なじみが私の彼氏になりました
これでようやく分かった。
空への気持ちも、空の気持ちも。
「じゃあ私はこれで」
梓紗ちゃんは部屋を出て行った。
「あのさ。果歩」
「うん…」
「勝手に停学になったりしてごめん…」
「…うん、」
「果歩をひとりで帰らせた時、青先輩から連絡来て、果歩が佐々木に抱かれてたって聞いて…それから直ぐに走って教えてもらった場所に行ったんだ…」
「うん…」
「佐々木がいて、話をしたらムカついて…殴った」
…空、が?
もしかして…
佐々木君に告白されて、
花火大会に誘われるまで私の前に現れなかったのは…
佐々木君が怪我をしてたから…?
私が花火大会の誘いをされた時には、怪我をした様子なんて無かったもん…。
「ごめん…でも、好きな奴が抱かれたって聞いたら…ムカついて…気づいたら殴ってて…果歩は…暴力なんか振る男好きじゃないよな…」
「そんな…」
信じられなかった…。
「言ったら、俺嫌われると思って…言えなかった…ごめん…」
けど…
「私の為、思ってくれてたんだよね…」
「…」
「空…」
「それだけじゃないんだ」
「…」
「俺は今までもそうやって生きてきた…。果歩のことがずっと好きで、でも伝えられず時間だけ過ぎて…そんな中果歩のことを好きになる男が現れるようになって」
「…」
「俺…取られたくなかったから…裏で果歩の無いこと言って、全部告白させないように仕組んでたのは俺。本当…最低だと思ってる…」
「…」
「果歩すげぇモテててさ。…大変だった」
「俺が果歩に前、佐々木に騙されてんだろ、いい加減に気づけって言ったのも全部嘘。佐々木は本気だったよ。けど果歩が行くと思ったら…そう言うしかなかった…」
「そっか」
「勝手に怒って、勝手に避けたりしてごめん」
「ううん、」
「俺謝ることいっぱいだな…」
「でも言ってくれて、ありがとう。私、嬉しいよ?」
「え…」
「こんなに、空に想われてたなんて…。逆に気づかなくてごめんね…」
「果歩にはごめんとか言ってほしくない…」
「…そっか」
「それからさ」
「…うん」
「海でした約束、あれ本当は覚えてる」
「えっ…」
知らないって…。
「知らないって嘘。ごめん」
「ううん」
「あの時はその…恥ずかったから、かっとなって…」
「もういいよ」
「…」
「空がちゃんと覚えててくれたなら、それでいい。嬉しいよっ」
サッカーにしか興味がなかった空が、あの頃の約束をちゃんと覚えててくれた。
本当に嬉しい。
「多分…あの時から好きだったと思う」
今日は、最高の誕生日だよ。
ありがとう、空。
ありがとう、緑、先輩。
真実が分かってよかったよ。
「て言うか果歩、」
「へ?」
「お前の返事聞いてないんだけど」
あ…。
まぁ、私の返事なんか言わなくても分かると思うけど。
「空もっかい言ったら?」
と、からかう先輩。
「無理っす、勘弁…」
「言っちゃえー!」
と、緑まで便乗。
「はぁ!?誰が言うかよ。てかお前、さっき俺に黙っててって言ったよな?」
「え?なんのこと?」
「惚けんな」
ははっ、なんかいいなぁ、こういうの。
「果歩答えろ」
「うん?」
「俺の事どうなんだよ」
目の前の空の顔が真っ赤だった。
「うん。…好きです…」
「ばーか」
照れてる空は可愛かった。