幼なじみが私の彼氏になりました
全身鏡の前に立った私。
「よし」
「何がよし?」
「きゃあああー!ゆ、幽霊!!」
「ちげーよ!幽霊じゃねえ!」
「あ…なんだ」
空か。
「なんだってなんだよ」
「別に?ていうか私今から着替えるんだけどっ!」
「あ、そう」
…。
「あっ!!ババ抜き!」
「ふっ。残念だったな、果歩ちゃん?」
「…っ、で?空は私に何して欲しいの?」
「なに…ねぇ…」
「…なによ…」
「じゃあキスでもしよっか」
「…はっ!!!」
「なわけねーし、冗談だよ」
私顔真っ赤なんですけど!
冗談かい!!
びっくりしたー
信じて損しちゃったしー。
「ま、予想通りの反応だな」
「からかわないでよね」
「…ま、キスはいつかしてもらうけど?」
…っていけないいけない!
早く準備しなくちゃ!!
「あ、あの空君?」
何くつろいでるのかな。
私のベットに堂々と座って足くんでマンガ読んでるし。
「あ?なに?」
「ねー!マンガ持って行っていいから出てってー!」
「マジ。分かった」
マジでマンガ持ってった。
まあいいや。
ささっと着替えを終えた私は鏡を持ってきてイスに座った。
「よしっ」
洋服完璧。
「だからー、なにがよ…」
「きゃあああー!」
「幽霊じゃねえぞ!」
「いや、別に言ってないし」
「あっそ」
もう着替え終わったしいっか。
私は手を進めた。
「果歩いつも化粧するな」
「出かけるときはね」
普通でしょ?
もう高校2年生なんだし、皆だってするし。
「前まではしてなかったよな?」
「前っていつよ。してたよ?」
「いや、俺と付き合う前」
「…まぁ…ね、」
空の彼女になって、やっぱり私自身変わらなきゃって思ったし、
可愛くなりたいって強く思った。
「肌とか荒れねぇの?」
「うーん、少し」
「だったら止めろよ」
「やだよ」
でも薄くだしいいじゃん。
「なんで。そのままでも充分可愛いけど」
「えっ、え?」
私が?
可愛いって?
「なんもねーよ」
「そー」
聞き間違えだったのかな。
だけど空が可愛いなんて言う?
ないない。
空に限ってないね。
「あ、そうだ」
「ん」
「今日ね、空が夢に出てきたよ」
「んー?」
「2人で遊園地行ったの!」
「へー」
「…聞いてないし!」
マンガ読んでるし!
適当に返事してたなこいつ。
「あ、わり。なに?」
「もういいよ」
「は?ふざけんな」
逆ギレですかっ?
「空が聞かなかったんでしょっ!」
「俺のせいかよ性格悪」
「なによっ!ばーか!」
「は、お前そんなこと言っていいと思ってんの」
「え…」
空が私に近づいてくる。
「そ…っ、空…」
「言ったこと、後悔させてやるよ」
「い、意味分かんな…ちょっ…!」
そ、空!?
空と…キスしてるの!?
「ふっ。ばーか」
「もうっ!」
空と…キスしちゃった…。
柔らかくて優しいキス…。
私のファーストキスだった。
心臓が破裂しそう。
空と付き合ってから今日までどきどきばっかり。
ううん、きっとそれはこれからも違いない。
そして、私の手は完全に止まっていた。