幼なじみが私の彼氏になりました


空とひとつになった次の日。






「空、シュート!」




先輩がそう言って立ち上がった直後、空の綺麗なシュートが真っ直ぐゴールする。





空はチームの皆にガッツポーズをした。






「「「「キャーーーー!!!」」」」






前に空から誘われた試合。





それが今日となりました。





そして今日は緑と先輩、ううん





緑の彼氏と私で空の試合を見に来てます!





「さすが原田君だね」





緑が感心する。





「空にとってハットトリックは当たり前なんだよ」






もうすぐ試合が終わる。





空はこれで3点目。






練習で見た時よりもすごくて、






誰よりもかっこいい。





誰よりもずば抜けて、





誰よりも早く走り、ボールを取りに行く。





いつもと違う空。






真剣なんだ。






「ハットトリックって?」






「ハットトリックって言うのは一試合に同じ人が3点以上の点を取ることだよ」






それは私も知っている。






「へー!すごいね!!」






緑のわくわくした声が聞こえる。






「あぁ」






空大好き!






そうここで叫びたいくらい。






周りの女の子は空にきゅんきゅんしてる。




例え敵だとしても。





だけど今は私が彼女だもん!





胸を張ってそう言える。





色々あった。





私が好きだと言って、空が私に冷たくした。





悩んで悩んで、だけど諦められなくて。





空が、私の嬉しがる言葉を沢山くれた。





それだけで舞い上がって、






空の冷たい言葉に私はいつも悲しくて。






私相当空にベタ惚れなんだなって。






「あっ!」





相手側が点を取った。






これで引き分け。






残り時間も後わずか。






空っ、…。






空はボールをパスされドリブルで切り込んでいく。






このドリブル…私は知ってる。






いつもは軽く2、3人抜かしていくのが当たり前。






…ほら、やっぱり。






そして空が後輩にパスした。






ゴール前に走っていく空。






かっこいい。






今この状況は誰が見てもそう思うだろう。






人よりも体が小さいのに体力はある。






体重は軽いのに丈夫で。






ジャンプ力もいい。






「空!!」






空にパスされた。






ゴールはがらあきだった。






後はキーパーと1対1。






「よし、いくよ」






緑が立ち上がる。






「「うん」」






私と先輩も立ち上がる。







「せーの、」






「「「空ーー!!!」」」






3人で声を上げた。






その直後、空の背中が逞しく見えたと同時にシュートが入った。

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