君の花嫁~大学生編~
「カインのこと?」
「……」
伊織が心配するとしたらカインのことだろう。でも心配することなんて何一つない。
私は伊織だけが好きなのだから。
「カインは嫌いじゃない。でも好きになれないかも」
「どうして?」
そう聞いた声は声になっているのか。
伊織の声が遠くに聞こえる。
もう眠気には勝てずに瞳を閉じた。
「カインと似ている部分があるから、かな」
そう呟いた伊織の声は私には届かなかった。