君の花嫁~大学生編~
「言ったでしょ? 僕は伊織と仲良くなりたいって。問題は伊織の中にある」
そう言ってカインは自分の胸をトントンと叩いた。
「伊織が怖がっているってこと?」
「うん」
伊織が何に怖がっているのかわからない。
またため息をつくと、カタンとカインが水を床に溢した。
「おっと、sorry」
「大丈夫」
タオルを持ってきて二人で屈んで床を拭く。すると、カインは屈んだまま、至近距離で顔を覗き込んできた。
「ねぇ、真琴。君は伊織を愛してるなら、伊織が抱える想いを受け止めてあげて欲しいんだ」
「どういうこと? 前にカインは伊織の気持ちがわかるようなことを言ってたけど」
「それは」
カインが何か言いかけたとき、グィと身体を起こされた。