君の花嫁~大学生編~


一緒に遊ぶことも多かったから当然の流れであるとはいえるだろううが。
しかし、今までただの腐れ縁だった相手にどの面下げて好きだといえよう、と相談されたばかりだった。
なのにここに来てお見合い話とは何とも気の毒な話だ。


「それにお見合いしたからって、真琴達みたくなる自信なんてない」
「私たちはお見合いと言う名の政略結婚だったけどね」
「でも今はもう好きあっているじゃない。私には無理よ」


そう言って薫は頭を抱えてしまった。
しかし、こればかりは私にもどうしょうもないとただ慰めていると、後ろから声をかけられた。


「どうした、真琴? 夏目?」


穏やかな優しい声に振り返ると、すらっと背の高い、目を引く容姿の男性二人組。
声をかけてきた男性に自然と笑顔になる。


「伊織。伊織もランチ?」
「いや、もう食べた。ふたりをちょうど見つけたから。で? なんで夏目はそんなに落ち込んでいるんだ?」


伊織--雨宮伊織は当たり前のように私の隣に座る。
伊織と一緒にいたもう一人の人物――相模肇は空いている薫の隣の席に座った。


「どうした、薫? 腹でも壊したか」
「そんなわけないでしょ! 肇には関係ないの」


関係大有りでしょ。
私は内心で突っ込むが、薫の言い草に慣れている肇は「はいはい」と軽く頭をなでる。
それだけで薫の表情が和らぐのだから、肇も扱いには慣れているということだろう。
知らぬはお互いだけであるということだ。

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