君の花嫁~大学生編~
「真琴? どうしたの?」
「え? あ、ううん。なんでもない」
笑って隣の席につく。
いつも通りだ。
伊織の声も顔も態度もいつも通り。
昨日のことを引きずる様子もない。
いつも通り……。
「今日はカインは2限からですよね。俺たちは先に行こう」
時計を見ると大学に行く時間だ。伊織に促され、部屋を出るときに、チラッとカインを見るとキッチンから肩をすくめられた。
カインも気が付いている。
「伊織」
服を引っ張って呼び止める。
「真琴?」
「あの……」
「……昨日は悪かったな」
口ごもる私の髪を撫でながら伊織が謝った。
顔を上げるとニッコリ微笑まれる。