君の花嫁~大学生編~
「わかったように言うのね」
「わかるんだよ。僕も同じだったから」
「それって?」
よくカインは伊織の気持ちがわかると言うが、それはどういう意味なのか。
詳しく聞き出そうとすると、テーブルにあるものが置かれた。
「何これ。招待状?」
「うん。今度、関係者を集めたパーティーがあるんだ。まぁ、僕の留学を口実とした交流会みたいなものなんだけど。伊織とおいでよ」
このホテル知ってる。文化人とか政治家とかがパーティーするような5つ星ホテルだ。
すっかり忘れていたが、カインはこれでも王子だったんだっけ。
「僕の家族も来日して顔をだすみたい。オフレコだけどね。きっとそこで色々とわかるよ」
カインは寂しげに笑って席を立った。