君の花嫁~大学生編~


伊織の帰りを待って、パーティーの事を話すとすでに聞いていたのかあっさりと頷かれた。


「親父に出ろって言われた。まぁ、パーティー自体が公式なものではなくて、簡単な交流会だからそこまで重苦しいものではないよ」


上着を預かりながら頷くが、いくら公式パーティーではないにしろ、一国の王族のパーティーだ。遊び感覚ではいけないだろう。
少し顔が強張ったのだろう。それを見た伊織が苦笑した。


「そんな今から緊張するなって」
「緊張するよ! いくらマナーの勉強をしてるからって相手は王族なんだから」
「でもカインだし」
「カインだからでしょう~。あんなんでも王子なんだから。雨宮のパーティーでも緊張するのに、王族のパーティーとか、私倒れるかも」
「大丈夫だって。俺がいるだろ」
「うん。私、伊織から離れられないわ」


そう言って笑いながら伊織を見上げると、フッと伊織の空気が変わる。
急に真面目な顔になり、私の頬を大きな手で包み込んだ。


「離れる必要なんてない」


低い声で呟いて、熱いキスを落とした。


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