君の花嫁~大学生編~
「ねぇ、変じゃないかな?」
私は鏡越しに、部屋に入ってきた伊織に声をかけた。
すると伊織は優しく目を細める。
「綺麗に着付けも出来ているし、なにより凄く似合ってるよ」
「もう真琴さんは着付けに関しては何も心配はありませんね」
着付けの先生が穏やかに笑う。
それを見てホッとした。
今日はカインに誘われたパーティーの日だ。国際的パーティーということもあって、私はドレスではなく着物を身に付けた。
一応、着付けの先生に来てもらったが、全てひとりで着付けをしたが合格のようだ。
お高い着物だから馬子にも衣装かもしれないけれど。
部屋に入ってきた伊織も仕立てのいいスーツを着ている。いつもとは違う、フォーマルのオーダースーツは伊織の品をより一層引き立て、さっきから心臓がうるさい。
「凄く綺麗だ」
「伊織も。素敵」
照れながらそう返すと、オホンと着付けの先生に咳払いをされてしまった。
見送られながら、車にのってホテルへと向かう。
伊織にエスコートされながら会場につくが、そのきらびやかさに目眩がしそうだった。
「え? 公式じゃないんだよね?」
「公式じゃなくても、王族のパーティーだからね」
伊織はあらかじめ予想していたのか、苦笑している。