君の花嫁~大学生編~
いやいや、だって、非公式の関係者を集めたパーティーだっていったじゃん!
なに、この規模。広すぎ、人多すぎ!
さすが、いくら小国とはいえ、王族。レベルが違う。
「まぁ、これだけ人が多いのだから、俺たちは適当に飲み食いして退散しよう」
「そうね」
そうは思ったが、伊織もさすが、雨宮の跡取りだ。次から次へと挨拶をされ、気が抜けない。
やっと人の波もきれ、ホッと一息をついたところにポンッと肩を叩かれた。
「伊織、真琴」
振り替えるとカインがスーツを着て微笑んでいる。
その表情はいつもみたいに砕けてはおらず、凜としており、王子らしい品を漂わせていた。
その雰囲気にこちらも背筋が自然と伸びる。
やはり、カインは王子なのだと思い知らされた。それは伊織も同じ様で、顔つきがかわる。
お互いが表向きのビジネスの顔になったのだ。
「カイン殿下。本日はお招きありがとうございます」
伊織の挨拶に合わせ、私も頭を下げる。
「いや、こちらこそ来てもらいありがとう。あぁ、そうだ」
そう言って、カインは後ろを振り返る。
釣られるようにその先を見ると、一組の男女がこちらに向かって歩いてきていた。