君の花嫁~大学生編~
あれは……。
ハッキリとその姿をとらえて、ハッとする。
間違いない。この二人は。
「紹介するよ。うちの両親だ」
英語で紹介したカインの隣に立った男性はガッシリとした体格に、威厳を醸し出した中年の男性で、その整った顔立ちはカインに良く似ていた。
この人が、オーリングス国王陛下。
親しげな表情で伊織に握手を求めた。
伊織はその手を取りながら英語で自己紹介をする。
「お目にかかれて光栄です。雨宮伊織と申します」
「君が雨宮の息子かい?」
「はい。父がお世話になっております」
「世話になっているのはこちらの方だよ。彼は今日は来ないのかい?」
「いえ。仕事で遅れてはいますが、間もなく到着致します。陛下とお会いできるのを楽しみにしていましたよ」
「そうか。私も楽しみだ。さて、こちらの美しい女性は?」
ひとしきり挨拶を済ませると、陛下は私に視線をよこした。その視線を受け、丁寧に挨拶をする。
「お目にかかれて光栄です、陛下。伊織の妻で真琴と申します」
慣れてきた英語で返すと、陛下は私の手を取り、甲に軽くキスをする。
「美しい奥さんだね」
……こういう軽さはカインに似ていると思う。
顔には出していないが、腰に回っていた伊織の手が微かにピクッと動いた。