君の花嫁~大学生編~
「こちらは私の妻でリリーだ」
そう言われ、やっと陛下の隣で微笑んでいた女性を紹介される。
しかし、女性を見て、ドキッとした。
「初めまして」
そう挨拶した声が可愛らしい。
陛下はどうみても40代半ばから後半だが、リリーさんはどうみても20代後半に見える。
陛下の妻ということはカインの母ということになるが、それにしては若すぎる。
つまり。
「リリーは僕の義母なんだ」
二人が去ったあとに、残ったカインが潜めた声で、しかし穏やかにそう教えてくれた。
「ずいぶんと若いのね?」
「あれでも30だけどね。ちなみに、第一王女である妹の母だ」
カインは第三王子で、兄達とは母が同じらしい。
「ねぇ、伊織」
カインは傍らにたつ伊織を振り返る。
その目を強張った表情で受け止める伊織。
「僕は君と境遇が恐ろしく似ているんだ」