君の花嫁~大学生編~
帰りは途中にある夜景スポットで車を止めて外へ出る。ちらほらとカップルも見えて、デートスポットなのだと知った。
「寒くないか?」
春先とはいえ、夜になると少し肌寒い。大丈夫だと頷くが、伊織はそっと私の肩を抱き引き寄せた。
引き寄せられた胸にソッと頭を寄せる。
平然と装っているが、内心はドキッとした。
結婚して2年。大学生になってから、伊織はグッと大人っぽくなった。背も伸びて体つきも筋肉質になりがっちりとして男っぽい体つきになった。
つまりは高校生の頃のような、少年っぽさではなく見た目も中身も大人になってきているのだ。
それに気が付いたのは最近。伊織の男の部分に気が付いてから、好きになったばかりの女の子のようにドキドキすることが増えた気がする。
時々、接し方さえもわからなくなるようなときがある。
そんなこと、薫や他の友達に話すとのろけだと言われるけれど政略結婚から始まって、恋愛感情もないまま結婚した私たちにとってはまだまだ恋愛期間と一緒なのだ。
伊織も、伊織もそうだといいな。
同じような気持ちでいてくれたらいいな。
肩に置かれるぬくもりを意識しながら、そう思った。