【今】を生きる貴方へ

　母が入浴している間に、知り合いの連絡先が分かってしまう物や

　日記を鞄につめこんだ。

　避難する時にディズニーグッズのオバケちゃん・

　震災復興のリストバンド『We　Are　One』・SEA10周年の巾着袋・

　春ちゃんから貰った写真・ドリームキーを鞄に入れた。

　そして、その日の夜、全部屋・トイレ・廊下・風呂場・母の寝顔に

　「２７年間お世話になりました。ありがとう。さようなら。」と声をかけた。

　そして旅立ちの朝、朝食のパンを完食し、母がトイレに入った瞬間に、靴下・

下着・洋服を何着かカバンに押しこんだ。

　母との永遠の別れ。

　「行ってきます！」

　「傘（怒）！」

　「うん。」

　それが母と交わした最後の言葉だった。