俺様主人の拾われペット
-------ザッ…
砂利の音がすぐ後ろで聞こえた。
…誰なのかは分かっていた。
すぐそこを通りかかったんだろう
俺たちの姿を見て近づいてきたってとこか…
「…何の用だ。」
振り返って見てみれば
案の定…あの小僧だった。
(凛太朗…とか言う名前だったか)
そいつは俺を見て言った。
「早川と…どういう関係なんですか。」
この前も途中迎えに来たり
学校に来たり祭りに来たり…
と顔を曇らせるこの小僧。
「さぁ、何に見える?」
と俺が言葉を濁せば
そいつはイラっと来たらしく
眉間にシワを寄せて黙る。
「…保護者、みたいなもんだ。血は繋がってないけどな。」
と俺が言えば
さらに眉間にシワを寄せる小僧。
まぁ…こんな複雑な関係を一言で表すのは確かに難しいし
理解もしにくいだろう。
血が繋がっていない男が
あいつの保護者なんて、な。
「…じゃあ首の跡のことは…知ってるんですか。」
と尋ねてくるそいつに
俺は正直に答える。
「…あれは、俺がつけた。」
「--------!!」
そう言えば
小僧は目を見開いて、俺を見た。
「そういうことだ…凛太朗くん?」
「っ!何で、俺の名前…!」
「千夏から話は聞いてる。
…あいつは俺のだ。手出すんじゃねぇぞ。」
と言って俺が見下ろせば
小僧は悔しそうに唇を噛みながら
俺を睨み返す。
「おーい凛太朗ー!行くぞー!」
と遠くから声が聞こえてくる。
連れを待たせているんだろう。
「…ほら、さっさと行ってこい。連れが待ってるぞ?」
俺が余裕に微笑めば
そいつはさらに悔しそうな顔をしながら
渋々ここから立ち去った。
(……あいつも何だかんだ、本気か。)
なら尚更…威嚇しておいて正解だったな。
と
俺は自分の言葉の威力を確認し
何と無くホッとした。
これで、あいつに変な虫が減るといいが。
そう思いながら
あいつが消えて行った方向を見ていれば
後ろから千夏の声が聞こえてくる。
「仁美さん!お待たせしました。
…あの、どうかしました?」
「ん?あぁいや…何も。」
と
俺はあの小僧のことを告げることなく
千夏と一緒に祭りを歩き始める。