俺様主人の拾われペット





花火が上がり始め

俺は千夏から手を離して
2人で並んで空を見上げる。





「わぁ…!!すごい綺麗…!!」





千夏が目をキラキラさせながら
笑顔で花火を見上げる。



下にはもう密集した人の群れで
俺たちの周りにも
さっきより少しだけ人が増えていた。


まぁそれでも全然少ない方だが。






「すごい…!
綺麗ですね、仁美さん!」







と笑顔ではしゃぎながら
隣で俺を見上げて言う千夏。


俺が そうだな と
少し笑って返事をすれば

千夏は満足そうにふふっと笑う。






(………。)







横にいる千夏を見れば

横顔が花火の光に照らされて
笑顔で幸せそうな表情をしていた。





-----ドクン…





その姿が
あまりにも綺麗で。


俺はしばらくその姿に見とれていた。






「……?仁美さん?」





どうかしました?
と、俺が千夏を見ているのに気づいて

俺にそう尋ねてくる。





「……千夏。」

「…?はい?」





俺が名前を呼べば
どうしたのか、と ? を浮かべながら
俺を見つめ返してくる。




-----ドクン…





俺はそのまま
無意識に手を 千夏の頬へ持っていく。



頬へ触れて 撫でる。







「…仁美…さん…?」






俺を見上げながら
千夏が優しい眼差しで…俺を見る。





(………。)





そして俺はそれに返事をする代わりに

段々と
千夏に顔を近づけた。




千夏は逃げる様子もなく
俺が近づくのに合わせて

段々と…目を 閉じていく。



その流れは自然で。





そしてそのまま

唇が…重なった。






< 105 / 142 >

この作品をシェア

pagetop