俺様主人の拾われペット
(………。)
…と、まぁこうして
部屋の前までやってきたが…。
一応ノックをしてから入ろうか?
でも今までは勝手に入ったり
適当にやってきたしな…。
と、些細なことにひっかかり
なかなか中に入ることができずにいた。
(っ…考えすぎだな…。)
もういい。
寝てようが寝てまいが関係ない。
俺はそう決心して
ガチャッ---と、千夏の部屋の扉を開ける。
「よぉ、入るぞ。」
「…っ、え、仁美さん…?!」
中に入れば、意外にも起きていた千夏が
ベッドに腰掛けながら
突然入ってきた俺を見て
驚き焦っていた。
慌てて立ち上がってこちらに向かってくる千夏に
ニヤニヤしそうになるのを
必死で押さえ
余裕な態度で向かう。
「何だ、寝てなかったんだな。」
「あ…はい。
ね、寝れなく…て…。」
「寝れない?」
何故?と俺が疑問に思っていれば
千夏は恥ずかしそうに
頬を染めながら
顔を俯かせて小さく言う。
「…う、嬉しくて…
何だか寝付けない、というか…。」
「---------!」
モジモジしながら
視線を彷徨わせる千夏。
その姿に
鼓動が激しく鳴り始め
---ゴクッ…と喉を鳴らす。
「へぇ?嬉しくて寝れねぇんだ?」
「っ…!」
改めて言われると恥ずかしいのか
顔を赤くしながら
顔を背ける。
(…ったく…可愛いやつ…。)
フッと笑みがこぼれて
俺は千夏の体を
ギュッと軽く抱きしめると
そのままベッドに連れて行って
2人で寝転ぶ。
「っ、ひ、仁美さん…?!何して…?!」
「ばぁか。何もしねぇよ。ただ…。」
「…?」
お前も寝れねぇし
俺も寝れねぇ。
2人して寝れねぇんだったら…
「俺もどうせ寝れねぇ。
…だから、まだ一緒に過ごしたっていいだろ?」
「っ…!」
俺がそう言うと
千夏は驚いたように目を見開いて
でもすぐに戻り
嬉しそうに
俺の胸に顔を寄せてきた。
「--------!」
「…そうですね。
私も仁美さんと…一緒にいたいです。」
(っ…!!)
…ったく…、俺がドキドキさせようと
サプライズのつもりで訪ねたっつのに…。
(俺がドキドキしてどうすんだよ…。)
そう思いながらも
何だかんだ嬉しい自分に
嘘をつけず、フッと笑いながら
そっと目の前の千夏に
腕を回した。