俺様主人の拾われペット
「……俺に客?」
「はい。
若木辰臣(ワカキ タツオミ)様という方が
お話があるとお見えになってます。」
秘書の者からそう言われて
俺は思わず眉間にシワを寄せた。
若木辰臣…?
(誰だそいつは…?)
聞いたことのない男の名前に
俺はまたも変な予感が体の中で
増大するように渦を巻いた。
俺に話がある、という要件だが…
(……嫌な予感がしてならないな…。)
何だ…この胸騒ぎは。
出ない方がいいような気もするが
出てもでなくても…同じような気もする。
「……通せ。」
そして俺は結局、通すことにした。
どこの誰かは知らないが
その"話"とやら…聞いてみよう。
そう思って秘書の者にそう告げると
すぐにそいつが下がって
その男とやらを迎えに行った。
…そして
-------コンコン
少ししてから
部屋へ再びノックがした。
あの客が来たのだろう。
どうぞ、と声をかければ
-----ガチャッ
と音をたてて 扉が開かれる。
「失礼します。」
「………。」
入ってきたのは 当然男。
しかしこの男…
入ってきた時の顔に 笑みを浮かべていた。
それも…怪しげな微笑み。
(…薄気味悪いな。)
それにこいつ…
どこかで見たことがある。