俺様主人の拾われペット

それに気づいた瞬間

俺は体に力が入った。





-----こいつが

千夏があの施設から脱走することになった原因の人物。







『…あの子は、引き取られることを嫌がっていました…。』


『私達も彼女の気持ちを分かっていたのですが…先約様のご意思に背くことができなかったのです…。』







園長の言っていた言葉が
頭の中で蘇って再生される。




…こいつ、何者なんだ…？








「千夏は始め、私が引き取る予定になっていたはずなのに…
あの日、彼女の姿はありませんでした。」

「………。」

「横取りなんて…違反じゃないですか？大宮さん。」






(-------っ。)





冷たい視線で
俺を睨むように微笑む姿に

俺は少しゾッとした。







「…彼女の意志を尊重したんです。」







俺は静かに言い放った。



帰りたくない、と言ったあいつの…

俺の言葉に返事をしたあいつの意志を

俺は守った。




させたくなかった、2度と。

あの、拒絶した目を---。









「意志を尊重？
彼女が、僕のところへ行きたくないと言ったということですか？」

「えぇ、そうです。」

「…ククッ…はははっ、大宮さん
何をおっしゃってるんですか？
…彼女がそんなこと言うはず、無いでしょう。」






(----------！！)







そう言った男…若木は

ゾッとするような狂気ある目で
俺を睨みながら 乾いた笑いを発していた。




-------何だこいつ…！











完全に

どこか狂ってる…！！