俺様主人の拾われペット

近づく足音

-千夏said-







(………あ、れ…?)






気がつくと私の目の前は真っ暗で

フワフワとした感覚で
その場に立っていた。

でも感覚としては中に浮いてる感じ。




周りを見渡しても
どこだか分からないし
もちろん、誰もいない。






(どこなんだろう、ここ……。)






誰かいないの?

仁美さんは?
花崎さんも、皆は?



どうして…私1人なの?







私はそう思いながら
足を動かして 探し回るように歩き進む。



すると少し経ってから
後ろから コツ、コツ、と足音がした。



もちろん、私の足音とは別に。






(仁美さん…?仁美さんなの?)





足音は着実に近づいてくるのに
姿は一向に見えない。







「……仁美、さん?」






おそらく私の目の前で
立ち止まったであろう近い足音に

私は真っ暗な目の前を見つめながら

彼の名前を呼ぶ。




すると-----









『……千夏、迎えに来たよ。』









(-------------!!)





その声が聞こえた途端

目の前に姿を現したのは…





























「早川っ!!」

「っ?!」




------ガタッ!!






体をビクッとさせながら
机をガタッと鳴らしたのは、私。


どうやら授業中にいつの間にか寝ていたらしく
先生に起こされたようで…





「ちゃんと起きて授業聞いてろよー!」

「あ…ごめんなさい…。」






ここは…教室。



ってことは……




(あれは…夢……?)






私はそう気づくと
ホッと息をついて深呼吸をする。


一気に、目が覚めた。





夢の中で会ったのは確実に…"彼"。






(何なんだろう…この予感…。)






なんだか

嫌な感じがする。







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