俺様主人の拾われペット






「…どうしてずっと、黙ってるの?」

「…っ!」








笑顔で優しく聞かれているはずなのに




その笑顔の裏にある

小さな怒りが見えて




私は思わず息を飲んで、血の気が引いた。








「……ご、ごめんなさい…。」

「あ、やっと喋った。
そっか、そうだよね。突然だったしびっくりしたよね?」







それなのに1人で喋りっぱなしでごめんね?






優しく言われて
少しだけホッとした。




---機嫌を直したらしい。





そう感じると

私はホッとしながら
また視線を前に戻す。







……これから、自分はどうなるんだろう。






そんなことを思いながら

まだ解けない "この緊張" を感じながら
1人で考える。






-----そんな時だった。













ブー、ブー、ブー。












(---------っ?!)







突然、鞄に入っていた携帯のバイブが鳴った。








「…電話、鳴ってるね。」

「っ!!」








そう言った彼の声が

先程と同じくあまりにも冷たくて---






私はまた

血の気が引くのを感じた。







まだ貰いたての携帯に
入っている連絡先は全然少ない。



そして



その中でも電話をかけてくる人なんて

1人しかいない。










(っ、仁美さん……!!)









今日、帰る時間は伝えてある。



きっといつまでも校門に来ない
私に疑問を思って

電話をしてきているんだろう。









「……電話、出ないで。」

「……は、い…。」









そう言われて

私は従うしかなかった。







従わなかったら、きっと-------。







そんなことを考えながら

彼が何をするかわからないことに
怯えるしかなかった。









そして少ししてから


鳴っていた携帯のバイブが-----止んだ。









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