俺様主人の拾われペット
「どうした?!どこか痛いのか?!」
仁美さんは顔を上げた私を見て
慌てて腰をかがめて私にそうた尋ねた。
焦った顔をして私の背中に手を回し
泣いている私の背中をさすってくれる。
「っ…違うんです…別に…。」
「別にって顔じゃないだろうが。
何かあったのか?迷って怖かったのか?」
優しく子供をあやすような感じで
私の顔を覗き込みながら聞く仁美さん。
私は何と言っていいのかわからず
ただ首を横に振るだけだった。
仁美さんに言われ
とりあえず立って部屋に戻ることになった。
あぁやっと戻れる…
そう思うとホッとした。
「…大丈夫か?」
歩きながら仁美さんが私に優しく尋ねてくる。
大丈夫です、と答えれば
仁美さんもホッとしたように軽く笑みを浮かべた。
部屋の前までやってきて
私はお礼を言った。
「ありがとうございます。
…それじゃ、おやすみなさい。」
「……待て。」
部屋に入ろうとしたら
仁美さんに止められ手を掴まれた。
どうしたのだろうか、と思い振り向くと
仁美さんが口を開く。
「…1人で大丈夫か?」
「え?」
「っ…だから、1人で夜怖くないか大丈夫かって聞いてんだよ。」
そう言いながら
照れるように少し頬を染めながら視線をそらす仁美さん。
…も、もしかして怖いって言ったら
一緒に寝るとか言おうと思ってるんじゃ…
「だ、大丈夫です!ね、寝れます!!」
「そ、そうか。なら良い。よし、寝よう。」
先ほどまでの気まずい空気が嘘のように
お互い照れて不自然に部屋に入っていく。
(自分から言っといて照れるとか…こっちまで照れるし…!)
と心の中でツッコミながら
ふふっと笑みがこぼれた。