俺様主人の拾われペット





住所変更の手続きやら何やら色々やることがあるらしく
仁美さんも一緒に学校に行くことに。


到着すると
当たり前だけど登校中の生徒が私の方をチラチラと見るわけで…。





「すげぇ…これロールスロイスだぜ?
誰だよこんな金持ちの家のやつ…!」

「あれって専属の運転手じゃない?
すごい…本当にいるんだこういう人…。」





(……で、出たくない。)





今出れば注目の的になるのは目に見えている。

それが私だと知られたら登校だけの注目じゃ収まらないだろう。

クラスでも何か言われそうで
体が言うことを聞かない。





「………。」





そんな私の様子を見ている仁美さん。

そして先に降りると扉を閉めて
花崎さんに話をして先に学校に行ってしまった。


そして私を乗せたまま
車が動き出す。




「えっ…?!あの、花崎さんどこに…?!」

「少し学校から離れて見られにくい場所に向かいますので
少しの間お待ちください。」




そう言うと花崎さんは車を人通りの少ない外れ道の方へ入れて
すぐに車を止めた。

ここから通る生徒はそうそういないだろう。



どうやら私の様子を仁美さんは察したらしい。

花崎さんに私が普通に登校できるように
道はずれに降ろせとでも言ったのだろう。





(っ……本当にあの人はよくわからない。)





優しいのか意地悪なのか
はっきりして欲しい…。

と意地をはって心の中で腹を立てながらも
悪い人ではないと改めて認識をする。





「では、気をつけていってらっしゃいませ。」





花崎さんの言葉に返事をして
車を降り、登校する。

幸いなことにクラスの友達には誰にも会わず
普通に登校した。

…のだが






「--------え。」






校舎に向かう途中の校庭
そのど真ん中に

…何あれ、胴上げの準備?
それとも誰か倒れてるの?

ってくらいに人だかり。

しかも8割型女子。




(…いやいやいやまさか…。)





少し心当たりがあった気がしたけど
絶対違うと思い通りすぎてしまおう…と思った時


やはり悪魔は手を差し伸べるわけで…






「……千夏。てめぇ通り過ぎてんじゃねぇ。」

「----------。」





…え?今何も聞こえてないよね?

うん、誰もいない。
知らない人知らない人…





「----------千夏。」






…じゃないですね。

知ってる人です。えぇ。




恐る恐るゆっくりと後ろを向けば





「…ひぃ!」

「ひぃ!じゃねぇ!
っ…悪いけど俺は行くところがあるんだ離してくれ…っ!!」





囲まれた女子たちに行く手を阻まれ
洋服を四方八方から引っ張られる仁美さんの姿が。


連絡先を教えろ、名前は、どこに住んでる、などなどもう狼になった女子たちにせがまれている。



…すごいなこの人は本当に…。




(なんて感心してる場合じゃない!!)





「仁美さん…!」

「千夏っ…、馬鹿!そこ引っ張るな!
離せって言ってんだろ、こら…っておい!」

「…え、ちょ、え、仁美さん?!」






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