俺様主人の拾われペット





「………。」

「だ、大丈夫ですか仁美さん…。」





現在校長室に呼ばれて
なぜか私も一緒に校長先生を待っている。

ソファで隣に座っている仁美さんは
この世の絶望を見たかのように
死んだ目をしていた。





「…最近の女子高生ってのは…
あぁも野生化しているもんなのか…。」

「いや…多分貴方に会ってから彼女達も発症したんだと思いますけど…。」





疲れ切って今にも倒れそうなほど
一気にやつれた表情を浮かべる仁美さん。


彼女達が彼に群がるの理由
それは

彼が イケメン だということだろう。





「無自覚みたいですけど…
仁美さんはかなり美形ですから…。」



仕方ないことだと思いますけど…。
と口を開けば
仁美さんから出るのはため息のみ。



とは言いつつも
私も改めてさっき思ったことなんだけどね。

目もキレイで大きいし切れ長。
そこには見惚れるほど綺麗な長いまつ毛。

えらも張っていなくてシュッとした輪郭。

肌も綺麗だし鼻も高くて
おまけに長身。


そして思えば
彼は信じられないくらい
ファンタジーレベルのお坊ちゃん。




(…こんなすごい物件確かにないよな…。)





それをただの一目で感知した彼女達はかなりすごいと思うけど。

私なら絶対気づかない。







「お待たせしました。
…今朝の騒ぎは貴方ですね?

大宮さん。」




-------え?




入ってきた校長先生が
仁美さんを見て何の迷いもなく名字を呼んだ。

…なぜ知っているのか。

そう疑問に思った瞬間
すぐにその疑問が解ける。






「大企業を多数手に掛ける
あの"大宮グループ"の御曹司様が…
どうして我が校に足を伸ばされたのですか?」


「………は?」






校長先生の言葉に
私は思わず声が出てしまった。




【大宮グループ】


それは国内では知らない人はいないほど
様々な産業に手をかけ
大企業をいくつも経営し

今では世界有数の大金持ちと称される
一族のこと。




彼はその





御曹司だというの…?






「………。」






私は思わず目を見張って
横にいる彼を見た。



そして彼は校長先生を見て
真っ直ぐに




「…ご存知の通り、僕は大宮の息子。
大宮仁美です。
今日は彼女…早川千夏さんの件で伺わせてもらいました。」




そう言って仁美さんは
ジャケットの内ポケットから名刺を取り出す。

その名刺には確かに

世の中に知れ渡っている大宮グループのマークが印刷されていた。





(……本当に…?)






私はここに来てやっと

彼の正体を知りました。





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