俺様主人の拾われペット
淡々と会話を交わしといく2人に
たった1人私だけが呆然としていた。
(彼が…大宮グループの御曹司…。)
考えてみれば
通りであんなすごい家に住んでいるわけだ。
普通のお金持ちとはレベルが違う。
それは思っていたけどまさか…
本当に世界が違う人だったなんて…。
本物のファンタジーレベルのお金持ち。
「---では、彼女は大宮家に引き取られた…ということですか?」
「えぇ。まだ"元の家"の方にはご連絡していませんが…。」
そう言って仁美さんが私の方をチラッと見る。
そして校長先生は話を聞いて、ある書類を仁美さんに差し出した。
住所変更の書類と
その他様々な個人情報に関わる提出書類。
仁美さんはそれらを受け取って、校長先生に挨拶を済ませるとソファから立ち上がった。
「千夏、行くぞ。」
「えっ、あの…!」
「今日は施設の方に話をしてこようと思うので、早退させてもらいます。」
「え…?!」
仁美さんは校長先生にそう言うと
私の腕を無理やり引っ張って
ソファから立ち上がらせる。
慌てて校長先生に一礼して失礼しました!と言いながら仁美さんと部屋を出た。
「ちょっ…仁美さん!引っ張らないでください!」
「千夏。」
「-----っ!は、はい!」
そう言った仁美さんの声は
今までになく真剣で、冷静だった。
この短時間の間で少し機嫌でも悪くなったのか
それとも何か大事な話でもあるのか。
私は分からなくて困惑していた。
今はただ、私は彼に連れられるまま歩くだけだった。
(…っ、力…強い…。)
腕が結構力強く掴まれていて
少し顔を歪める。
----------どうしたんだろう。
困惑する中
いつの間に用意されていたのか
校門の前に止められていた車のところまで来た。
「-------乗れ。」
仁美さんが車から出てきた花崎さんをチラッと見て
私にそう言った。
花崎さんがその言葉を聞いて
車のドアを開けてくれた。
「は、はい…。」
言われた通りに中へ乗る。
仁美さんが乗ったのを確認して
花崎さんも運転席に着き、車が動きだす。
「あの……仁美…さん…?」
私は静かに名前を呼んだ。
「………。」
私の声に
こちらを向いた仁美さんの目は
先ほど同様、真剣で…