俺様主人の拾われペット
「…お前、本当に帰らなくていいのか?」
「………!」
仁美さんの言葉に
私は目を見開く。
仁美さんの言葉に含まれているのは
"今ならまだ間に合う"の意味。
何も言わず黙って出てきた家でも
そこは何年も過ごしてきた
紛れもない私にとっての
"本当の家" だから。
思い出がないわけじゃない。
もちろん"家族"だって…いる。
一緒に過ごしてきた家族。兄妹。
「---全部捨てて、俺と暮らす覚悟はあるのか?」
彼らと離れ
私はこの人と 共に暮らしていく覚悟はあるのか
彼は私に そう問いている。
(-------でも私は…)
「……はい。」
---あの家には
帰れないんです。