俺様主人の拾われペット
-仁美said-





-----コンコンッ




施設の前まで行き、扉を叩く。

小さいが誰かの走ってくる音が聞こえた。




-----ガチャッ





「おはようございます。どちら様で---っ!!」

「おはようございます。
私、大宮グループの副社長大宮仁美と申します。」





出てきたのは優しそうな年配の女性で
格好からしてここの先生と言ったところか。

俺の顔を見て言葉を途切れさせ驚いている。



ハッとしたように俺の差し出した名刺を慌てて受け取り、中へどうぞ!!と扉を開けてくれた。




(…あいつの言うとおりかなりボロいな…。)





俺の家の隣の街とは思い難いほど
周りの建物に比べボロすぎた。

全く、政府は何をしてるんだ。

こんなボロい施設早く建て替えてやればいいのに…。



そう思いながら通された部屋に入った。




「も、申し遅れました。
私ここの園長の櫻井と申します。」




年配の女性はそう言ってすぐにお茶を出してソファへ俺を座らせた。




「あ…あの…本日はどういったご用件でこちらに…?」




向かい合うように女性も座り
緊張しているのか、固まった様子で俺を見ていた。





「…早川千夏…彼女の件で参りました。」

「!!」






千夏の名前を出せば
園長さんは目を見開いて取り乱したように



「あの子をご存知なんですか?!」



と声を上げた。

そしてまたハッと我に返って
ご、ごめんなさい…と謝った。



施設にいたはずの子供がいなくなって
取り乱すのも無理は無いだろう。

きっと心配していたところに
俺がこうして訪れたのだ。





「…彼女は今私が預かっています。」

「…!?」

「昨夜、外に出歩いている彼女を保護しました。
…今日彼女を正式にこちらが引き取ろうと思っています。」





単刀直入にそう答えると
園長さんは固まって俺を見た。

そしてしばらくお互い黙ってから
園長さんが静かに口を開いた。





「彼女は…今日別の方に引き取られることになっているんです。」





園長の言葉に
今度は俺が固まって絶句した。




(-------何だと…?)




千夏は本当は
今日誰かに引き取られる予定なのか…?

でもそれだったら何で…




「………!」





…そうか

彼女はそれが嫌で
昨日の夜、施設を抜け出したんだ---。





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