俺様主人の拾われペット
-千夏said-






仁美さんの温もりにさらに安堵して
私は家に到着する前に大泣きして
泣きはらしてしまった。



(…仁美さんの服濡らしちゃった…。)




「ご、ごめんなざい…。」




鼻声で謝り、仁美さんから離れると
仁美さんは私の顔を見て
プッ!と吹き出すように笑った。





「お前…今トナカイみてぇだぞ!!」

「ちょっ…そんな今笑わないでくださいよ!!」

「ははは!やべぇ本当トナカイ!」




先ほどまでのシリアスな空気は吹き飛んで、昨夜と同じような緩い雰囲気に戻る。

ガミガミ言いながらも私も笑っていて

気づけば2人で笑っているうちに
仁美さんの家の前に着いていた。




「ほら千夏、転ぶなよ?」

「そんなドジじゃないです!大丈夫です!」

「昨日は俺の家で迷ってたくせに。」

「あれは…家が広すぎるからいけないんです!!」





そう言いながら車を降りて
家の前で立ち止まる。


そして仁美さんが私に向き直り
優しい笑みを浮かべて言った。




「…お前は今日から正真正銘、大宮家の人間だ。これからよろしく。」




そう言って手を差し伸べられ
私は笑顔でその手を握り、返事をする。





「それと…
お前はもう俺のペットなんだ。
今日からは従順な犬になれ。」





そう言って意地悪な笑みを浮かべつつ
どこか優しさのこもった目に

私は膨れながらも手を握り続けた。






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