俺様主人の拾われペット




「お前、家出か何かか?」

「………。」





男の人が腕を組みながら私に尋ねる。

私は何も言わず黙ったまま下を向いていた。





「親は。」

「………。」

「…いねぇのか。」

「………。」

「お前…そこの施設の孤児だな。」






黙っていても全て見透かされ
私は何も言えなかった。

目を開けて男の人を見ると

真っ直ぐな表情で私を見ていた。






「……お前これからどうするつもりなんだよ。」

「…わかりません。」





でも出来るだけ遠くに

この街から遠く離れた
全然関係のない場所に行きたいと思ってる。


そう伝えると
男の人は大きなため息を吐いて

突然私の手を掴んだ。





「っ!ちょっと、何す…?!」

「行くところねぇなら、俺の家に来い。」

「…は…?!」






突然言われた言葉に
思わず目を見開いて驚く。

知らない男の人の家に行くって…!?






「馬鹿っ。何もしねぇよ!
家に部屋が余ってるから貸してやるって言ってんだよ!」






私の考えを見透かしたらしい彼が
強い口調でそう言ってきた。

でも確かに
さっきの真っ直ぐな顔を見て思っていたけれど


彼は真面目に私の話を聞いていたらしい。


決して面白半分でも
悪いことを考えているようには見えなかった。

…今も。






「…よし、決まりだ。」






男の人はそう言うと軽く笑みを浮かべて
私に改めて向かい合う。

そして






「今日からお前は、大宮家のペットだ。」






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