俺様主人の拾われペット
(っ…、自覚ってこんなにも恥ずかしいものなのか…。)
夜の公園で1人赤面する20歳。
大人だとか言っといて全然まだガキだな俺も…。
「…千夏…多分飯食ってねぇよな。」
あいつのことだから
俺を待って飯食べてなさそうなんだよな。
ったく…そういうところは忠犬みてぇ。
(………帰ろう。)
帰宅を決めて、俺はベンチから腰を上げる。
帰ったらまず…千夏に謝ろう。
多分俺のこと怖がりそうだからなぁ…
うまく謝るチャンスが来るかはわからんが。
そんなことを考えながら家に帰れば…
「お帰りなさいませ、仁美様。」
「………。」
家の玄関に入ると
1階には花崎と千夏がいた。
いた、っていうか…千夏に関しては意識はここにないが…
「寝てたのか。」
「はい。
ですので今お部屋にお運びしようと思っていました。」
「…そうか、じゃあ俺が運ぼう。」
「かしこまりました。」
ソファで寝ている千夏を花崎の代わりに抱き上げ
2階へ向かう。
…ほっそい体。
少しでも力加えたら折れるんじゃないかと思う。
(…そんなやつを俺は勢いで押し倒すとはな。)
そんなことを考えながら千夏の部屋を開ける。
そして千夏をベッドの上に置いて
少しその寝顔を見ていた。
「………。」
髪の毛がベッドの上に落ちて
見える首筋には先ほど俺が付けた"跡"があった。
そして…
俺が贈った、ネックレスも。
(……ごめんな。)
跡をそっと手で触りながら
最後はネックレスに移動して、飾りを手の平に乗せる。
そして心の中でそう言った。
そのあと千夏から手を離し
そのまま部屋を出た。
「……花崎。」
部屋を出ると、タイミングを見計らったように花崎がこちらに来ていた。
俺の顔を見て察したような花崎に
俺は黙って下を向いた。
「…千夏は俺のこと何か言っていたか。」
「…いいえ何も。
ただ仁美様の帰りを待っていらっしゃいました。」
花崎はそう言うと俺に夕飯ができている
と告げて部屋まで送る。
俺は久しぶりに
1人で食事をした。